静岡だけの問題でしょうか?
災害時にペットを連れて自宅などを離れる「同行避難」に関連し、県内三十五市町のうち浜松市など十六市町が、いずれの避難所でもペットの飼育場所を事前に決めていないことが、県などへの取材で分かった。他人同士が集団生活を突然強いられる避難所は、動物のアレルギーや臭いが問題になることが多い。県衛生課の担当者は「要配慮者対策などが優先され、選定が進まない」と頭を悩ませる。
県などによると、すべての避難所でペットの飼育場所を決めているのは掛川市など十市町。静岡市など九市町は一部の避難所で事前選定済みだが、静岡市危機管理総室の担当者は「避難所運営の主体となる自主防災組織の意識に差があり、具体的な想定ができていない地域があるのが実情」と打ち明ける。
同行避難を巡っては、東日本大震災の被災地で飼い主が分からない放浪状態のペットが多数見つかった。環境省は二〇一三年、災害時はペットを連れて避難することを原則とするガイドラインをまとめた。県は昨年三月、避難所のペット飼育場所を事前に決めておくよう各市町に求める愛玩動物対策行動指針を策定した。
ただ、事前に決めていた飼育場所が被災して使えなくなる場合もある。動物の災害救援活動に取り組むNPO法人アナイス(東京)の平井潤子理事長(56)は「事前選定は安心につながるが、決めた場所に固執するのは危険。臨機応変に対応するためにも、東日本大震災や熊本地震で起きたトラブルを知っておくことが重要」と呼び掛ける。
(松野穂波)
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